「逢魔ヶ時の伝説って、知ってる?」
夏も終わりかけた九月。一週間後に控えた文化祭へ
むけて、生徒たちは賑やかに準備を進めていた。
そんななかで時折聞こえてくる、耳慣れない言葉。
――逢魔ヶ時の伝説。
たいていの生徒は知っているようだが、転校生の新
はなにも知らず、ただ不可解そうに眉をひそめるば
かりだった。
しかしその日、新はその怪談を知ることになる。そ
して友人に騙されて、そこに語られる世界へ――、
迷い込んでしまった。
不思議な世界と不思議な人々。いいことがあったり
もすれば、血しぶきを浴びることもあった。
文化祭までの七日間で、新は五人の少年と出会い、
彼らをめぐる物語に巻き込まれていく。
そうして過ごすうち、自らの失われたものを思い
出し、取り戻すことになる。
お祭りまでは、あと少し。